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Thriller [昔話]

ホテル街の少し向こうに、「菱形」の事務所があり、
店の斜向かいのマンションには 「菱形」所有の部屋もあったことから、
その筋の方々もよく来店されてました。


真夏でも長袖着てる人がほとんどで、墨でゴルゴ13みたいな眉にしてる人も多く、
来店者全員がゴルゴ13!なんてこともよくあった。

でも、うちの店に来られる方々はとても優しい人ばかりで、
その辺のサラリーマンと変わらないくらい物静か。

近所のおばちゃん連中の方が よっぽどヤクザだったくらい。


そんなに物静かな方々もお仕事はちゃんとしてる様で、
手帳を見せながら挨拶する人達が何度も店に来られて 写真を見せていただいたり、
店内が見渡せる席に一日中座ってたりしてました。



事務所とマンションへは、よく出前も行った。

さすがに女の子に行かせるわけもいなかいんでワタシが行くんだが、
マンションの場合、必ず玄関じゃなく中まで運ばされる。
事務所の場合は門番さん。


マンションの玄関の傘立てには木刀数本と金属バットが立てられ、
ペット禁止なはずなのに キャンキャンとよく吠える犬を飼い(夜のみはり)、
リビングのソファーは黒の革張り(威厳)、
カーペットは無く(もしものとき滑らないように)、
低い長テーブルは厚めの天然木(盾に使える)。

という装備w


そんな装備にに似つかわしくない、三脚が付いた反射照明が3機に、空の三脚が2つ。
何でだろう・・とは思ったが、まさかこんな場所で資金源を作っていたとは思いもしなかった。

あの日までは・・




マンションからピラフとオムライスの出前注文があったので、両手にトレンチを持ち 階段を駆け上がり、
両手が塞がってるんで、扉の前で声をかける。

「トマトで〜す!」

間もなく扉が開いて、中から住人が顔を出したんだが、
人差し指を口の前に立てて「静かにしろ」という合図を出す。

数度頷き、いつものように中まで運んでリビングのテーブルに置こうとしたとき、
びっくりしてトレンチを落としそうになった。



リビング隣の部屋では、キレイなおねーちゃんと若い衆が撮影の真っ最中!

「ちょっと待ってや」と耳元でささやかれ、その場でしばしフリーズ。

他人の「やってる」とこなんか見るのも初めてだし、ベッド脇に裸でスタンバってる野朗の姿を見るのも初めてw
ドキドキするやら、興奮するやらで、脚はガクガクww


テープが止まってるうちに代金を貰ったんだけど、
代金とは別に口止め料としてVHSのテープを3本貰った。
ちょっと嬉しい♪


「一発やってく?」

とお誘いをうけたけど「店があるんで・・」と遠慮させていただいた。


店に帰ると えっちゃんが「遅かったね、何かあった?」と心配してくれたが、
事実を言えるわけもなく、「大丈夫」と言いながらテープをカウンターの奥に隠す。


大事にアパートまで持ち帰ったテープだが、ビデオデッキなんてあるはずもない。
店に行けばあるんだけど、天井から吊ってあるBOSEからしか音が出ない・・


仕方ないから先輩んちで鑑賞会したんだけど、
見ながら「出演しないでよかった・・」と心から思った。


恐い恐い・・・





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